Lumberman103’s blog

外材特に北米材アメリカ、カナダ材については日本一のスペシャリスト

アメリカでの木材積み込みの話

アメリカで木材丸太を輸入するために買い付けすると当然船🚢に積み込みする仕事を港湾荷役会社に依頼しなければならない。シアトルにはジョーンズステべとシアトルステべの2社あるが我が社は、すべてどんなことがあろうともジョーンズステべに依頼していた。父親の時からそうであったので当然なのだが我が社の規模では2社使うより1社の方がいいという判断と、そこで働いている副社長の日本人 Tと父親が非常に仲が良かったこともある。私がアメリカに出張すると必ず2〜3回夕食をご一緒する。1軒は韓国の焼肉屋に行き、店の別の部屋には韓国女性のホステスがいるカラオケバーがある。ここで日本の歌をカラオケでよく歌っていた。もう一軒は日本人オーナーが経営している寿司屋に行くのは決まっていた。この寿司屋は有名でマイクロソフトビルゲイツボーイングの社長、世界最大の木材会社ウエハウザーの社長までがカウンターに座っていたこともある。この寿司屋のオーナーも父親と非常に仲が良くTとも仲が良かった。もう一軒はステーキ屋かシアトルのチャイナタウンの中華料理屋か日本居酒屋といったところか。このTさんは有名人で顔が広く私にアメリカのいろいろな木材会社を紹介してもらった。それが後に木材ビジネスの発展につながっていった。なおT氏はお酒が好きで1年365日飲んでいた、またゴルフ⛳️も好きでシングルの腕前で年200ラウンドぐらいプレイしていた。またいつも陽気でよく喋り凄く元気で、そのバイタリティには脱帽である。

後編に続く

 

アメリカ出張の初期

私が30歳前ぐらいから一人で木材丸太を輸入するためアメリカ出張していた。その頃はシアトルから北に車で40分走ったエバレットという小さな町の中堅木材会社ミラーシングルからアメリカ木材丸太を輸入していた。ミラーシングルの輸出の90%は我が社が買っていたので、まさに会社同志が強くタイアップしていた。ミラーシングルの木材集荷場はエバレットとオレゴン州ポートランドであった。後にワシントン州ロングビューも始める。ポートランドから積む丸太がインディアンリンクの丸太だった。ここから積む丸太には特徴があり、米モミに似た製品にすると白っぽい丸太でグランドファーという品種である。このグランドファーを日本で扱っているのは我が社がトップシェアであった。ポートランドの木材検品はいつもシアトルのボーイングの工場に置いてあるプライベートセスナでポートランド空港まで飛び、ボート🚤に乗りコロンビア川に浮かべてある木材を検品する。その後はボートに乗りプライベートセスナでシアトルに帰るのであるが、オレゴン州ポートランドに行くといっても滞在時間はわずか3時間である。

コロンビア川はワシントン州オレゴンの州境にある大きな川で、ポートランドはかなり内陸にあるのだが大きな木材船🚢がこの川を上流に昇っていく。そして川に浮かべてある木材の束を船のクレーンで積む。ミラーシングルは中堅木材会社なので検品も商談もオーナー社長とするので大手木材会社のサラリーマン担当者よりやっかいである。気が短くすぐに怒りっぽくなり商談もなかなか決まらない。商談だけで何日もかかる。社長の決まり文句はいつも怒ってyes or Noだった。私はいつものように大きな声でNOと言う!

アラスカのインディアンの話

直接アラスカのインディアンから木材を買う訳ではなくアメリカの大手木材会社から買うのだが、聞いた話なのだがアメリカ大手木材会社がインディアンの長と話合い山林の伐採権を契約して買うのだが、その時に支払った大金をインディアンはすぐにつかってしまうらしい。またインディアンは血液型はO型しかなく長年インディアンどうしで結婚するとO型しか生まれない。またアラスカは人が住むには寒く他の人種があまり行かなかったこともある。今では白人とも結婚しているのでそうはなってないかもしれない。アラスカ以外の州もたくさんインディアンリンクある。我が社は昔からオレゴンアイダホ州のインディアンリンクから木材を輸入していた。

後編に続く

初めてのアラスカの無人島

新しいアメリカ大手木材会社と取引が増えて担当者とウマが合い仲が良くなった頃にアラスカの無人島に行かないかという話がでた。これはアメリカ木材のホワイトファー(製品にすると白っぽい木)が量が揃わなくなり、代替としてアラスカのホワイトスプルースを使用しないかという話だ。日本ではマンションの建築部材は白っぽい木材製品が好まれていた。シアトルからアラスカに飛行機で飛び、そこから水上飛行機で島の名前は忘れたが無人島に飛ぶ。無人島なので港の設備もなく道路も完備されていない。水上飛行機は水の上に浮くのでどの場所からでも上陸できる。上陸すると車🚗で島の木材を視察した。それまではホワイトスプルースは日本にあまり輸入されていなかったため少し不安があったが輸入することを決断した。理由は、この無人島から輸入するのは日本で我が社が初めてで、先駆者というのはその権利が一番になること、それとコチラの希望のサイズと長さにカスタムカットしてくれるというサービスつきだからだ。径級は20〜30cm長さは10.8mと12.2mにカットしてもらえた。何故10.8mと12.2mかというとマンションの建築部材の長さが2.7mでその3倍の長さ、一般建築は4mでその3倍の長さということで無駄がない。径級が20〜30cmなのは建築部材が小割りのため節の小さい物を好むためだ。これなら輸入すると製材所の顧客に喜ばれるという判断で輸入を決意した。この判断じたいは成功するが一つ予想しなかった問題がおこった。

アラスカまで積み込みのため船🚢をまわすのだが無人島なので港湾設備がないため船を沖にアンカーで停めて海上から木材の束を船のクレーンで積み込みを行なう。そのため海上が荒れると積み込みが出来ないため中止になる。アラスカは1年を通してよく天候が荒れるため積み込みが遅れると契約上は天候のためでも罰金が生じる。契約にもよるがその時期1日遅れるたびに150万円の罰金が生じた。天候だけは誰にも分からない訳だから運を天にまかせるだけだ。

なおアメリカは港湾設備がしっかりとしていて岸壁から積むため何の問題もない。

ロシア木材を輸入するための船

外国から木材を輸入する場合、契約条件がビジネスにおいて大事であるがアメリカ、カナダの場合はFASCIFがある、FASアメリカの船側渡し価格で相手側が船の横まで持って来ての価格で後は、こちら側で船に積み込み日本まで船で🚢運び輸入する。手間はかかるが自分の力でコストを下げることができる。CIF  というのは相手側が木材を船に積んで日本の港の岸壁まで持って来ての価格である。手間はかからないず楽であるがコスト高になる。契約条件はすべて米ドルである。ではロシアの場合はどうかというとCI FかC& Fである。理由はロシアの場合は船が小型であるが契約した時間に港に木材が集荷されるかどうか分からないため、こちら側が船をチャーターすることができない。またロシア木材を積む船は中古でクレーンが壊れているような安い船でないとコストが合わないからだ。またC I F とC& Fの違いは 間にIがあるかないかだが Iというのは船の海上保険の意味で、ようは沈没した時の保険のことだ。

ロシア船を見るとかなり古く沈没する確率が高いので当然保険料が高いわけだ。CI F  の場合は向こう側が保険をかけているがC& Fの場合はこちら側が保険をかけなければならない。日本の保険会社に電話するのだが、船名を言えば年式が分かり保険料が算出される。当然古い年式になれば保険金額が高いわけだ。場合によっては年式が古すぎて保険を断られるケースもある。あとロシア船側のクレーンは壊れているので木材を荷下ろしする時にバカ高い日本のクレーン車をレンタルしなければならない。

結局は手間がかかり割高になってしまう。

ロシア船は木材の荷下ろしが終わると今度は日本の古い中古車を積んでロシアに持って帰っていた。

日本の住宅品確法で製材が無くなる

日本の住宅品確法の以前は木材丸太から製材して製品にする場合にサイズは鋸みちを計算してピッタリに挽くのだが住宅品確法以降は製品サイズは大きめに挽く。そしてその製品を数週間、天然乾燥させる。木材製品は乾燥させると曲がったり縮んだりする性格がある。そしてそれを乾燥機に入れ何日間か乾燥させるので再度、曲がったり縮んだりする。それをプレナで削って製材し直すので、出来上がる製品が非常に少ない体積になる。これは業界用語で歩留まりという、木材丸太から製材して製品にする歩留まりが悪いというこだ。丸太から製材して製品にするのが住宅品確法以前と以降では、出来上がる製品の量が圧倒的に少なくなったのである。木材はもともと曲がったり縮んだりひび割れるものだが、住宅品確法はそれが基本的にダメだということだ。

これは製材にとっては大きな問題である。製材というのは製材機械の設備や丸太を置く広い敷地、また人員もいる。その上に製品にするまでの手間と工程期間が長くなり新たに乾燥機も購入しなければならない。そしてその製品に見合った価格で販売ができないのだ。それによって競争力のない中小製材がなくなり大型工場だけが残っていくことになる。日本の政府も大型工場しか補助金を出さないので、いっそうその傾向に拍車がかかる。本当に悲しいことだ。

話がフィンランドからそれたが、こういう理由もあってフィンランド木材製品が大量に輸入されることになったのだ。

 

初めてのフィンランド出張パート3

毎日のようにスウェーデン人と製材工場、木材集荷土場、木材伐採地に視察に行くが、どことも大規模で整備されていて最新鋭の機械が設置されている。

たとえば日本の製材機械は丸太を1枚の帯鋸で挽く、最新の機械でもツインソーといって2枚の帯鋸で挽くのだが、フィンランドでは丸太を5〜6枚の丸鋸で挽く。スピードも早く生産性がずば抜けている。後で聞いたのだが、フィンランドは木材伐採から製材、乾燥、製品化するまで一貫して世界一の技術と生産性があるということだ。品種はホワイトパインがメインで他にはレッドパインなのだが日本でいうエゾ松とアカ松と同じで、品質も非常に良い物である。

また乾燥においも日本より進んでいて、どこの製材工場も乾燥機が大量に並んでいた。これだけ技術が進んでいるということは丸太で輸入するより製材製品で輸入する方が合理的ではないかということで製材製品または半製品の輸入を始めることになった。

パート4に続く